障害者にやさしいアメリカと雑感

 どんなに小さなお店でもレストランでもバリアフリーであり、障害者専用の駐車スペースがあります。しかも健康な人がそのスペースに駐車してしまうという、日本ではよく見かける光景も絶対にありません。デパートや空港のエレベータでは、列の最後に並んでも待っていた人がみんな譲ってくれて、すぐに乗ることができます。途中の階から乗るとしても、元気な人は率先して降りてくれます。日本だと非常に恐縮してしまいそうですが、アメリカにいるとこのような好意はごく自然に受け入れることができます。「Thank you, Sir.」「You bet.」といった具合です。
 Madison在住中にこんなことがありました。お天気の良い日曜日、私もoffでしたので家族でstate streetを散歩しました。他にも沢山の人です混雑した歩道を歩いていると、小学校3年生くらいの男の子が娘のバギーを飛び越えて行きました。バギーが人にぶつからないようにゆっくり押していましたから、しびれを切らしたのでしょう。私たち家族がびっくりしていると、すぐさま男の子の父親がその子を大声で叱りました。そして私と娘に申し訳なかったと謝るのです。Handyのある人には常々気を配ってあげるように教育しているつもりだったが、私の不行き届きだと言うのです。いやいや、私たちのほうこそ速度が遅く、皆さんの邪魔になってしまって、と申し上げましたが、日本では経験がないことでした。ごった返す東京駅やディズニーランドでは、バギーの直前を横切ったり、飛び越えたり、ぶつかってきても邪魔だと言わんばかりの顔をしていってしまう人ばかりです。親の教育なのか国民性のゆとりなのかわかりませんが、障害児を連れてのアメリカでは不快な思いをしたことがありません。
 障害者を見る目も日本と違います。日本では子供も含めてみんなジロジロ見ていきます。日本橋のデパートにはよく家族で出かけますが、列の先頭に並んでいても横から我先にとエレベーターに乗っていきます。ひどいときなど3回以上は乗れません。途中階で降りてくれる人は皆無、空港はよいのですが駅の階段は地獄です。電車など公共の乗物に乗るのは一苦労。休日になると駐車場も障害者スペースは健康な方たちの車でほとんど満車です。おまけに障害者福祉は予算削減の方向にあるし、これからどうなってしまうのか心配です。健康で不自由のない方、家族に障害を持った方がいない方は障害者のこと、障害のことは今はピンと来ないでしょうけど、人間みんないずれは命が尽きます。将来障害を持つことも多いでしょう。その時のことを想像せよと言っても不可能でしょうが、モラルの低い方はいずれ同じ思いをすると私は思っています。
 将来の日本が、少しでもアメリカのように障害者にやさしい国に近づくことを祈っています。


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