私の仕事

 さて私の仕事のことです。臨床留学でClinical Fellowとして勉強することになりました。脳神経外科内ではClinical Instructorという身分で一応Faculty Staffです。レジデント6人とその上にチーフレジデントが1人いますが、私はチーフの上の立場です。チーフが病棟医長ですから、私は病棟医長以下を指導する立場ということになります。一見かっこよく聞こえますが、現実は大変です。当直はレジデントが行い、手術になればチーフが呼ばれます。しかしチーフでも手に負えないとスタッフが呼ばれるわけですが、スタッフとチーフの間の中間管理職の私がチーフの次に呼ばれることになります。日中の病棟業務はよくcallされましたが、夜間に呼ばれたことはそんなに多くありませんでした。しかし夜間に呼ばれた時は大変な事態の時ばかりです。私が呼ばれるのと同時にその日の当番のスタッフにも連絡が行くようになっていましたが、「Noriがだめなら呼べ」といった具合で、良く言えば私が信頼されているということに、悪く言えば便利屋さんです。いずれにせよ私のレベルで全て何とかなってしまいました。アメリカ人面倒くさがりやなのかどうか知りませんが、何でも略して言います。「Doctor Kawakami」と言いにくかった様で、私はレジデントからは「Doctor K」と呼ばれていました。「Nori」でいいからと何回言っても、呼ばれる時はドクター・ケーです。漫画にもありましたが、なかなかかっこいいではありませんか。夜中に呼ばれて動脈瘤からの出血を見事に止めた時は、自分でもかっこいいと思いました・・・。所詮自己満足だけでしたけど・・。でも初日にいきなり呼ばれた猟銃自殺の散弾摘出は二度と経験したくありません。


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