アメリカ国内旅行

 せっかくのアメリカです。日本に帰国したらアメリカ旅行の費用も時間も絶望的です。できるだけ観光することにしました。
ナイアガラの滝:クリーブランドで国際学会があり、発表する機会がありました。私の分の航空券と宿泊代は大学から出ましたので、家族の分の負担で3泊4日の旅行です。CRJという機種の小さな飛行機でMadisonからクリーブランドまで直行です。かなり低い高度を飛びましたので、シカゴやミシガン湖、デトロイト、エリー湖まで眼下に良く見ることができました。発表の翌日は学会をサボって(大きな声では言えません)、レンタカーでナイアガラの滝までドライブです。休憩しながらエリー湖を半周してやっと到着です。それにしてもエリー湖はでかいです。ずっと同じ景色ばかりです。東岸のバッファローではものすごい大雨に遭い、バッファローを過ぎると大瀑布から立ち上る水蒸気が遠くからでもはっきりと視界にとらえることができます。あれがナイアガラかあ。カナダとの国境も超えてカナダ側からも見ることができました。雨あがりの虹がとても印象的でした。それにしてもこれだけの大瀑布なのに、ゴーゴーという水の音が聞こえません。水の壁が動いているのが見えるだけです。日本人観光客も沢山いました。



ナイアガラの滝

グランドキャニオン:
是非とももう一度訪ねてみたいところです。ここまでたどり着くには大変な苦労がありました。ミネアポリス経由でラスベガスまで行き、一泊してレンタカーで翌朝出発してグランドキャニオン、モニュメントバレーを観光し、フェニックスからMadisonに戻る5日間の旅程でした。ホテルもレンタカーもすべてインターネットで予約して準備万端でしたが、出発日のミネアポリス行きの飛行機が突然欠航です。搭乗口で待っていた乗客は誰も一言も文句を言わずに引き上げていきます。欠航の放送も至ってシンプルでしたが、乗客も実にあっさりです。日本だったらバスの欠便でさえ大変な騒ぎでしょうが、これには驚きました。ホテルとレンタカー会社に電話して予定をずらしてもらいました。結局私たちは翌日デトロイト経由の便に振り替えになりましたが、これがまた大幅な遅れで大変な目に遭いました。ラスベガス到着が午前2時、しかも何とスーツケースがありません。長女の睡眠導入剤、経管栄養剤が入っています。欠航になったり、大幅な遅れだったりでイライラしていましたので、ノースウエストの係りにどうすればよいのか聞きに行きました。他にも同じようなトラブルに遭った乗客がいます。みんな大声で怒っていましたので、ここは私だけでも穏便に・・・。しかし、「そんなの私は知らない、明日の便で来るんじゃない。」というそっけない言葉にはさすがにムカついて、「子供の薬が入っているんだ、どうしてくれる!」と語気を荒げたところ、薬という言葉に驚いたのか上司を呼んできました。事情を説明するとおそらく明日(といっても既に日付が変わってます)の便で来るだろうから、到着次第私の携帯電話に連絡するということで落ち着きました。もう3時を回っています。ホテルに到着すると今度はチェックインの長蛇の列。くたくたになって部屋に入ったのが4時半。次女はもう寝てましたが、睡眠導入剤を飲めなかった長女は元気いっぱいです。仮眠を取るにも長女が起きていますから、ベッドから転落しやしないかと結局一睡もせずに宿泊料金を支払いました。一体なんだったのでしょうか・・・・。レンタカーを借りに行っている間に長女が鼻血を出したらしく、家内から携帯電話に連絡がありました。鼻血はなかなか止まらず、空港からも連絡がないのでレンタカーの中で待機です。お昼過ぎに鼻血は止まりましたが、スーツケースの連絡はありません。これからグランドキャニオンまで行かなくてはなりませんので、しびれを切らして空港に行くと何と既に到着しているではありませんか・・。もうあきれて文句を言う元気もなく、寝不足のままグランドキャニオンに向けて出発です。アリゾナの砂漠を貫くハイウエイをパトカーに気をつけながら飛ばします。長女にも無事に経管栄養剤が注入できました。でも走っても走っても砂漠です。とうとう夜になってしまいました。澄んだ夜空に輝く星は表現しえないほど美しく、このときに見たオリオン座は今までに見たこともないくらいでした。美しい満天の星空に今までの苦労は吹き飛びませんでしたが、それに近いものがありました。やっとの思いでグランドキャニオン入口のホテルに到着です。23時を回っていますが、今晩こそは長女にもゆっくり休んでもらえそうです。ホテルには大きなバスタブが付いてましたので、久しぶりに子供たちを湯船に入れてあげることができました。
さあ、翌朝はいよいよグランドキャニオンです。公園の入り口で入場料を支払い、展望台に・・・。「・・・・・・」言葉が出ません。写真で見たことはありましたが、想像以上の絶景です。地球の歴史、人間が何てちっぽけなのか、などなど頭をよぎり私と家内は絶句です。一方ガールズは大喜びです。次女は大きなお山を見に行くと言ってはしゃいでいましたから、「おやま、おやま」と節をつけて歌います。長女もうれしかったらしく、車いすのフットレストをガンガン蹴りまくります。展望台をハシゴして、色々な場所から雄大な景色を堪能しました。ラスベガス空港での出来事なんて小さい小さい・・・?。
 一日だけ足を延ばしてモニュメントバレーに行きました。グランドキャニオンからは車で3−4時間です。アリゾナとユタの州境にあり、広大な荒涼とした砂漠の中にあります。カエンタに一泊して、自然の作り出したこれまた筆舌に尽くしがたい造形美を満喫しました。それにしてもカエンタの街は人も少なく殺伐としていました。ラスベガスの一日中眠らないネオンと比べると、同じアメリカなのが本当に不思議です。車で走っても対向車はめったに来ません。こんなところで車が故障したら我が家は一家全滅です。



グランドキャニオン



モニュメントバレー

ディズニーワールド、ディズニークルーズ:子供たちが楽しみにしていたフロリダ州オーランドのディズニーワールドです。テーマパークが沢山あり、広大な公園ですので1週間の時間を取りました。ディズニークルーズは家内のリクエストです。今までのアメリカ生活は勿論、アメリカ留学も家族の協力なしでは実現しなかったわけです。リクエストに奮発しました。ディズニーワールドはマジックキングダムの隣にあるコンテンポラリーリゾートホテルに泊まりました。最上階のお部屋で景色も抜群、朝食も付いています。遥かかなたのエプコットも見えました。夕食は毎日ホテル内のシェフミッキーというレストランでした。バッフェスタイルのレストランで、日によって食べ物も少しずつ違いました。何よりテーブルまでディズニーのキャラクターがやってきます。ガールズは毎晩大喜びでした。私も家内も楽しめました。
 実はここにもサプライズがありました。師匠のMontgomery先生が私たち家族のためにVIP tourを予約していてくれたのです。お陰様で初日のマジックキングダムは、Res君というスタッフにあちこち案内してもらいました。キャラクターとも優先的に写真が撮れ、殆ど独り占め状態でした。ガールズは初日のVIP tourで味をしめてしまったようで、その後のテーマパークが大変でした。でも身障者に優しいアメリカです。ただでさえ空いているテーマパークでしたが、長女が身障者ということでアトラクションは待ち時間なしで全て乗り放題でした。帰国後東京ディズニーランド近くに住んでますが、東京では乗れないビッグサンダーマウンテンなども普通に乗れました。長女は初めてのジェットコースターのような乗り物にも動じることなく大喜びしていました。次女はまるで自宅の滑り台で遊ぶがごとく、我が物顔でした。1週間の滞在中にエプコット、MGMスタジオ、アニマルキングダムにも行きました。1週間は十分な時間と思っていましたが、家族4人ともまだまだ時間が欲しかったです。12月のフロリダは真夏のようでした。
 さてディズニーワールド滞在の1週間が夢のように過ぎましたが、まだ楽しみは残っていました。東カリブ海7泊8日コースのディズニークルーズです。ポートカナベラルからの出航で、ディズニーワールドからレンタカーで2時間ちょっとです。スペースシャトル打ち上げが行われるケープカナベラルのすぐ近くです。ポートカナベラルに近づくと、私たちが乗るディズニーマジック号が停泊しています。黒を基調とした大きな豪華客船です。私と家内の方がガールズよりもわくわくしてしまいました。チェックインを済ませていよいよ乗船です。船に乗るというより、ホテルのロビーに入って行くような感じです。家族の名前が紹介されて(私も家内も気付きませんでした)昼食を摂るレストランに案内されました。その後船室に案内され、夕方いよいよ出航です。「星に願いを」の霧笛が聞こえ、ゆっくりと強大な船が大西洋に向けて出発です。身障者用の船室をとりましたので、広いバルコニー付きの船尾のお部屋です。夕刻のポートカナベラルからの夕日は私たち家族4人を優しく包んでくれました。アメリカでの生活が色々頭に浮かんでは消え、お世話になったマディソンの方角に沈んでゆく太陽を眺めている間は幻想的な時間でした。
 船の中ではアルコール以外の飲食費は不要です。散髪屋さんもありました。劇場では映画やミュージカル上映もあり、退屈しません。それにしてもカリブの海はコバルトブルーでとてもきれいです。船室から一日海を眺めていても飽きません。レストランのウエイトレス、船内の清掃係、ベッドメーキングする人などはコスタリカ、ジャマイカ、フィリピンなどからの方たちでした。障害児を連れての旅行でしたので、彼らは私どもにとても親切にしてくれました。彼らとは友達になって色々お話しましたが、いろんな客がいて困ることも多いそうです。何せ食べ物がタダですから、食い散らかし、残飯の山など当然のごとくです。挨拶もしない人、お礼も言わない人などなど、目に余る光景も目にしてしまいました。感謝の気持ちはどんな時でも忘れてはいけません。
 彼らのおかげで素晴らしい1週間でした。寄港したセントトーマス島では家族みんなで潜水艦に乗って、海底散歩もしました。カリブの海でも泳ぎました。どこまでも透き通るような海、真っ青な空、真っ白な砂と明るい人たちに囲まれ、夢のようなひと時でした。いつかまたお邪魔したいと思っています。
 クルーズが終わった後、ケネディ宇宙センターにもよりました。あのアポロ11号のこと、スペースシャトル(案内係の人はorbitaと呼んでました)のことを資料館などで見学してきました。誰もが憧れる宇宙飛行士ですが、命がけだということが非常によく理解できました。

ワシントンDC:
憧れのUSAの首都です。せっかくアメリカに住んだのですから、観光しないで帰国するわけには行きません。2泊3日で行ってきました。ホワイトハウス、ペンタゴン、モニュメントタワー(閉館中でした)など、レンタカーを駆使して有名なところは殆ど見学しました。ペンタゴン周囲をドライブ中にビデオを回していたところ、おまわりさんに止められてしまいました。撮ったものをすぐに消去せよ!と言われてしましました。国防総省なわけですから大変申し訳ないことをしてしまいました。



ワシントンDCモニュメントタワー

ニューヨーク:
帰国の時にニューヨークを経由しました。勿論ブロードウエイミュージカルを観るためです。ライオンキングを観ました。ホテルも劇場の近くに予約して、ホテルから歩いて観に行きました。帰国後劇団四季のライオンキングを観ましたが、それはそれで素晴らしかったのですが、本場アメリカのものは観客も俳優と一緒に盛り上がってそれこそ鳥肌が立ちました。日程の関係でミュージカルは一つだけでしたが、英語とはいえ家族4人とも我を忘れて演劇に夢中になっていました。


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